SES5年目が語る、SESの実態【単価・現場ガチャ・キャリア】

「SESはやめとけ」。エンジニア界隈で何度も目にする言葉です。

僕は金融・保険系の現場を中心に、SESエンジニアとして5年働いてきました。

先に結論を言うと、SESにはメリットもデメリットもあります。やめとけと切り捨てるのも、夢の働き方と持ち上げるのも、どちらも実態とは違う。

この記事では、単価の実数、現場ガチャ、5年いて分かった良い面と危ない面を、ポジショントークなしで書きます。

SESで働いている人、これからIT業界に入る人の判断材料になれば十分です。

SESの仕組みを30秒で

SES(システムエンジニアリングサービス)は、自社の社員をお客様の開発現場に常駐させる契約形態です。ポイントは「商流」、つまりお金の流れです。僕の場合、基本的な構造はこうでした。

エンドユーザー(銀行・保険会社など)→ 元請け → 大手SIer → 僕の会社(ビジネスパートナー、いわゆるBP)

エンドが払ったお金は、間に入る会社を経るたびに目減りして、最後に僕の会社へ届きます。

そこからさらに会社の取り分が引かれたものが、僕の給料です。

「単価と給料の差」の話をする前に、この多段構造があることだけ押さえてください。商流が深い=中抜きの段数が多い、ということです。

単価の現実 — 会社は75〜100万、自分は22〜30万

SESの給料を語るうえで避けて通れないのが「単価」と「給料」の差です。

僕がこの差を知ったのは、社内システムで案件別の明細をたまたま見られたときでした。自分の案件単価は月75〜100万円前後。一方、当時の自分の給料は手取りで22〜30万円。

率直な感想は「半分ももらえてないのか」でした。

もちろん、会社には営業コスト、社会保険料の会社負担、待機リスク、教育費などがあるので、単価がそのまま給料になるわけではありません。それは理解しています。ただ、還元率が5割を切る水準なのかどうかは、自分のキャリアを考えるうえで知っておくべき数字だと思います。

昇給ペースも書いておきます。僕の場合、基本給は5年で21.5万円→24.8万円。年平均で約8,000円の昇給です。単価は現場が変われば数十万円単位で動くのに、給料はこのペース。「単価が上がっても給料はほぼ連動しない」というのが、5年いた僕の実感です。

これはどの会社でも同じとは限りません。還元率を公開している会社や、単価連動型の給与制度を持つ会社も増えています。逆に言えば、自分の単価を知らないまま働き続けるのは、値札を見ずに買い物をしているのと同じです。

現場ガチャの実態 — 7現場を経験して

SESで「現場ガチャ」という言葉が使われるのは、配属先によって働き方が天と地ほど変わるからです。僕は5年で7現場ほどを経験しました。最長で1年強、最短はヘルプ要員での1か月。一方で、同じ会社には3年以上同じ現場にいる人もいます。

当たり現場の例:残業少なめ、在宅メイン、進め方の自由度が高い。働きやすさは抜群でした。ただ正直に言うと、こういう現場は技術的な挑戦が少なく、スキルはあまり積み上がりませんでした。「快適さ」と「成長」が両立しない現場は珍しくありません。

ハズレ現場の例:残業は月50時間超、フル出社でドアtoドア1時間半。給料は残業代で普段より高くなりましたが、平日は生活が仕事で埋まる感覚でした。

そして7現場を経験して断言できるのは、当たりハズレを最も左右するのは技術でも待遇でもなく、人間関係だということです。現場の人と合わなければ、技術が好きでも出社が苦痛になる。実際、人間関係が原因で休職した人も見てきました。配属されるまで中の人間関係が分からない。これが「ガチャ」と呼ばれる本当の理由だと思います。

それでも、SESの良いところ

5年いた身として、良かった点も本音で書きます。

まず、未経験でも入りやすいこと。IT業界の入口としての機能は間違いなくあります。

次に、現場が点々とするので飽きにくいこと。同じ会社に10年いたら見られない景色を、僕は5年で7現場分見ました。

そして金融・保険系に限れば、銀行や保険会社のシステムの裏側を知れること。このドメイン知識は、実は転職市場でちゃんと値段がつきます。

それでも消耗する人の共通点

7現場と周囲のエンジニアを見てきて、SESで消耗していく人には共通点があると感じています。

ひとつは、スキルが積み上がらない快適な現場に居続けること。居心地の良さは、市場価値の停滞と引き換えのことがあります。

もうひとつは、キャリアの主導権を営業に預けっぱなしにすること。現場の希望を伝えない、単価を知らない、スキルシートを更新しない。これでは「ガチャ」の結果を受け入れるだけの働き方になります。

SESが悪なのではなく、戦略なしでSESに居続けることが危険なのだと思います。

まとめ

  • 単価と給料の差、商流の構造は、知っているだけで判断が変わる
  • 現場ガチャの最大の変数は人間関係
  • SESには入口としての価値と、ドメイン知識という資産がある
  • 危険なのはSESそのものではなく、現状把握なしの現状維持

次回は「SESから転職を考え始めたら、まず何をやるべきか」を書く予定です。

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