SESから転職する前にやること7選|5年目で見直した市場価値と判断軸

SES・キャリア

SESから転職したいと思っても、「何から始めればよいのか」「今の経験で転職できるのか」が分からず、求人を見るだけで止まることがあります。

私はJavaを中心に、金融・保険系を含む7つの現場で、SESエンジニアとして5年間働いてきました。案件単価と給料の差、現場ごとの残業・出社頻度・人間関係、身につく経験の違いを見て、転職を考える前に必要なのは自分の現在地を数字と言葉にすることだと感じました。

先に結論を言うと、転職サービスへの登録は最初でなくても構いません。辞めたい理由、担当してきた仕事、給与、希望条件を整理してから求人や第三者の意見と比較した方が、周囲に流されにくくなります。

SESの契約・単価・給料・現場ガチャについては「SESの実態を5年・7現場の経験から解説」、金融系案件の働き方は「金融系SESの現場を5年経験した実態」で詳しく整理しています。

SESから転職する前にやること7選

順番やること判断できること
1辞めたい理由を分ける会社・現場・職種のどこに問題があるか
2案件経歴を棚卸しする職務経歴書へ書ける経験
3単価・給料・待遇を整理する今の会社で改善できる余地
4希望条件に順位をつける転職先を選ぶ基準
5求人と市場情報を比較する経験がどの条件で評価されるか
6現職に改善を相談する転職しなくても変えられること
7第三者へ相談する自分だけでは気づかない選択肢

この順番は、必ずすべて終えてから転職活動を始めるという意味ではありません。書き出していく途中で、今の会社に残る理由や、反対に早く環境を変えた方がよい理由が見えることもあります。

辞めたい理由を「会社・現場・職種」に分ける

最初に、「SESだから辞めたい」という言葉をそのまま結論にしないことが重要です。SESでも会社や配属先によって条件は違い、問題の場所によって解決方法が変わります。

問題の場所具体例考えられる対応
所属会社給料、評価制度、案件選択、待機時の扱い制度確認、会社との交渉、所属会社の変更
配属現場残業、通勤、人間関係、担当業務契約更新時の交代、営業への相談
SESという働き方配属先が変わる、意思決定へ関われない社内SE、自社開発、事業会社などを検討
エンジニア職技術への関心が薄い、業務自体が合わないIT営業、企画、コンサルなども比較

例えば、残業の多い現場がつらい場合は、会社を辞めなくても案件変更で改善する可能性があります。一方、単価が上がっても給与へ反映されない制度や、案件を選べない方針に不満がある場合は、現場だけ変えても同じ問題が続くかもしれません。

紙やメモへ「嫌なこと」をすべて書き、会社・現場・職種の3列に分けるだけでも、転職で解決したい問題が明確になります。

案件ごとの経験を棚卸しする

SESでは配属先が変わるため、「5年間Javaを経験した」の一文だけでは実態が伝わりません。案件ごとに担当工程、技術、成果を分けて記録します。

  • 業界・業務領域:金融、保険、販売管理など
  • 案件期間:開始年月、終了年月
  • 担当工程:要件定義、基本設計、詳細設計、製造、テスト、保守
  • 技術:言語、バージョン、DB、フレームワーク、クラウド、ツール
  • 体制:チーム人数、自分の役割、指導・レビュー経験
  • 成果:不具合削減、作業時間短縮、手順改善、問い合わせ対応

守秘義務に反しないよう、顧客名、案件名、個人が特定できる情報は書きません。「保険契約管理システム」「金融機関向け業務システム」のように一般化し、自分が行った仕事を中心に整理します。

厚生労働省の「マイジョブ・カード」には、在職者がこれまでの経験、強み・弱み、将来像を整理する補助シートがあります。何を書けばよいか迷った場合のたたき台として利用できます。

案件単価と給料を分けて整理する

SESで待遇を考えるときは、案件単価と手取りだけを直接比較しないようにします。案件単価は所属会社の売上であり、そこから給与だけでなく、社会保険料の会社負担、営業・管理・教育・待機などの費用も支払われます。

ただし、単価や担当工程が上がっても給与が長期間変わらず、昇給ルールの説明もない場合は確認が必要です。少なくとも次の項目を並べます。

  • 月給と基本給
  • 賞与、各種手当、残業代
  • 年間休日、有給、在宅頻度、通勤時間
  • 資格補助、研修、書籍購入などの支援
  • 案件単価を確認できるか
  • 昇給の条件と過去の昇給額

私の場合、基本給は5年間で21.5万円から24.8万円へ上がりました。一方、案件単価は現場が変わると数十万円単位で動きました。この差を見たことで、給与額だけでなく「何をすれば、いつ、いくら上がるのか」を確認する必要があると考えるようになりました。

希望条件を「必須・希望・不要」に分ける

年収、在宅勤務、残業、技術、業界、担当工程をすべて理想どおりにするのは難しいため、条件へ順位をつけます。

区分考え方
必須満たさなければ転職しない年収下限、勤務地、月の残業上限
希望複数社を比較するときに優先する在宅頻度、金融経験の活用、設計工程
不要求人選びの基準にしない知名度、オフィスの新しさなど

条件には数値を入れます。「残業が少ない」ではなく「月20時間以内」、「年収を上げたい」ではなく「総額○万円以上」のようにします。転職活動中に魅力的な説明を受けても、最初に決めた基準へ戻って比較できます。

求人を10件以上見て市場と比較する

市場価値は、転職サービスの診断結果ひとつで決まるものではありません。同じ経験年数でも、担当工程、技術、業界知識、地域によって提示条件は変わります。

まずは応募せず、希望に近い求人を10件以上集めて、次の項目を表にします。

  • 想定年収と給与内訳
  • 必須・歓迎スキル
  • 担当工程と役割
  • 開発環境と技術
  • 残業、在宅、勤務地、休日
  • SES、受託開発、社内SE、自社サービスなどの働き方

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、職業の仕事内容、求められる知識・スキル、賃金・求人倍率などを確認できます。求人サイトの数字だけでなく、職種そのものを比較したいときに使えます。

現職で改善できることを期限つきで相談する

安全に相談できる会社であれば、退職を決める前に希望を具体的に伝えます。

  • 次は基本設計や上流工程を担当したい
  • 金融知識を活かしながら新しい技術も経験したい
  • 残業実績が月○時間以内の案件を希望する
  • 昇給条件と次回評価時期を確認したい
  • 案件変更が可能になる時期を知りたい

ここでは「検討します」で終わらせず、確認日を決めます。例えば「次回契約更新まで」「次の評価面談まで」のように期限を置き、回答がなければ転職活動を進める判断材料にします。

ただし、心身の不調、ハラスメント、違法性が疑われる状況など、すぐに安全を確保すべき問題まで無理に交渉する必要はありません。必要に応じて社内外の相談窓口や専門機関を利用してください。

転職サービスは「情報収集」として相談する

棚卸しと希望条件ができたら、転職サービスやキャリア相談を使って第三者の見方を確認します。相談したからといって、必ず応募・転職する必要はありません。

相談時は「おすすめ求人を教えてください」だけでなく、次の質問を用意します。

  1. 私の経歴で評価されやすい経験は何か
  2. 不足している工程・技術は何か
  3. 希望年収は現実的か、根拠となる求人はあるか
  4. SES、SIer、社内SE、自社開発のどこが経歴と合うか
  5. 応募を急がず比較する場合、何を準備すべきか

回答を一社だけで結論にせず、求人票や別の相談先とも比較します。担当者との相性や保有求人によって提案は変わるため、「市場価値を決めてもらう」のではなく、判断材料を増やす目的で使います。

SESからの主な転職先を比較する

選択肢変わりやすいこと確認したいこと
別のSES企業給料、還元・評価制度、案件選択商流、待機時給与、単価開示
SIer・受託開発チームの所属感、担当工程客先常駐の割合、持ち帰り案件
社内SE利用部門との距離、運用への関与開発かベンダー管理か、夜間対応
自社サービス製品改善、意思決定への参加技術要件、事業状況、担当範囲
フリーランス契約と報酬、働き方の自己管理営業、税・保険、契約終了リスク
ITコンサル業務・経営課題への関与資料作成、顧客折衝、稼働時間

名称だけで理想化しないことが大切です。社内SEでも夜間対応がある場合があり、自社サービスでも担当範囲が限定される場合があります。求人票と面接で、自分が解決したい問題が本当に変わるかを確認します。

転職するか迷う人の30日行動プラン

期間行動
1〜3日目辞めたい理由を会社・現場・職種へ分類する
4〜10日目過去の案件、技術、工程、成果を一覧化する
11〜15日目給与・待遇を年単位で整理し、希望条件を決める
16〜22日目求人を10件以上集め、必要スキルと条件を比較する
23〜26日目現職へ改善可能性と期限を確認する
27〜30日目第三者へ相談し、残留・転職・学習の次の行動を決める

一度に完璧な職務経歴書を作る必要はありません。まずは箇条書きで記録し、求人や相談で得た情報を追記します。転職しない結論になっても、次の案件や評価面談で希望を伝える材料として残ります。

最初にやることは、転職先探しではなく現在地の記録

案件・工程・技術・給与・希望条件を書き出し、今の会社に残る場合と環境を変える場合を比較しましょう。

当サイトは転職を一律に勧めるものではありません。判断材料を整理することを目的としています。

まとめ|SESから転職する前に現在地を数字にする

  • 辞めたい理由を、所属会社・配属現場・職種へ分ける
  • 案件ごとに担当工程、技術、役割、成果を記録する
  • 案件単価と給料を直接比較せず、年間待遇と昇給制度を確認する
  • 希望条件を必須・希望・不要へ分け、求人を10件以上比較する
  • 現職で変えられることには期限を設けて相談する
  • 転職サービスは、応募を急ぐ場所ではなく情報収集にも使える

転職するか残るかは、他人に決めてもらうものではありません。今の会社で得ているもの、失っているもの、次の環境で変えたいものを整理して、自分で選べる状態を作ることが最初の一歩です。

参考資料